相場全体はリバウンド局面に入っていましたが、私は一貫して、「まだ歴史的な大底を打ったわけではなく、単なる一時的な反発に過ぎない」と厳しい見方を言い続けています。
大統領選挙でオバマ氏が当選しましたが、その翌日NYダウは大きく値下がりしました。大統領選挙翌日としては、1932年の記録を76年ぶりに塗り替えて、過去最大の値下がりとなってしまいました。オバマ政権の先行きを暗示しているかのような、不穏なスタートになったわけです。
NY株式市場の実勢を示すSP500指数は、10月に840ポイント台でダブル底のような形を作っていました。10月28日のザラバ安値846・81から、11月4日の高値1007・46まで上昇したわけですが、11日には885・11まで値下がりして、直近の反発分の77%を早くも帳消しにしてしまいました。これで5日線と25日線がデッドクロスして、短期から長期まで、移動平均線は再び右下がりに揃ってしまいました。
現在最も懸念されているのは、大手自動車メーカーGMの経営危機ですが、GMの株価は11日に2ドル76セントまで売り叩かれて、65年ぶりの安値に落ち込んでしまいました。経営危機が深刻化しており、ドイツ銀行のアナリストは、ついにGMの目標株価を0にしてしまいました。つまり、倒産することを前提にしているわけです。オバマ政権は、GMなど自動車メーカーを救済する方向で動いていますが、極めて厳しい状況です。サブプライムローンの問題から始まった金融危機は、いよいよ本格的に産業界に波及しています。
日本国内でも、10月の企業倒産件数は6年ぶりの高水準になり、景気の実勢を示す10月の街角景気指数も、2001年10月の数値を下回り、過去最悪に落ち込みました。
株式市場にもこの影響が出てきており、東証一部の予想PERは10月27日に9・5倍まで低下しましたが、11月11日には14・7倍に急上昇しています。これは企業業績の下方修正が相次いでいるためで、株価の割安感は大きく薄れています。上期より下期の方がさらに落ち込むはずなので、今後も下方修正が続出するとみられます。
個人投資家の間に、値ごろ感で割安だという声が高まり、新規に株を買う向きが増えていたわけですが、私は一貫して冷ややかにみてきました。確かに日経平均が6900円台まで突っ込んだことで、短期的には買い場になったと判断していましたが、これは本当の底値買いの場面ではないと、しつこいぐらいに注意してきました。日米ともに株価が再び下げ波乱に見舞われる可能性は十分にあります。
また株式投資をおこなっていない一般の人々にも、資産運用の世界で影響が出てきています。11月12日付の東京新聞によると、変額年金で国内最大手のハートフォード生命保険が、株価暴落により約200億円の損失を出し、元本保証型の変額年金保険の運用を約9割停止したことが分りました。これにより契約者は元本の8割を一括で受け取るか、15年間で元本の全額を受け取るか、どちらかを選択して払い戻しを受けることになります。株価の暴落、景気の実勢下落に続いて、変額年金の世界にもいよいよ危機が押し寄せてきました。
私が警告してきたとおり、まだまだ最悪の場面はこれから待ち受けていることを肝に銘じておきましょう。