前号の当コーナーで、私が30代後半から40代前半にかけて、とても苦しい人生最大の苦難を味わったことを書きました。それを読んだ会員の方から「早見さんは、常に勝つ人生、成功の王道ばかり生きて来て、失敗とはほど遠い、人の痛みや苦しみなどに、あまり縁のない人かとばかり思っていました」という手紙をいただき、苦笑してしまいました。私だって生身の人間ですよ。
私は以前、当コーナーで「やっと感謝の2文字に行きついた。」と書きましたね。
お釈迦さまは、人生には四苦八苦がつきものだと説かれました。でも、こうした多くの苦しみが、すべて感謝に行き着くのです。
生きること、老いること、病気になること、死ぬこと。この生老病死の4つの苦しみがあります。
しかし、やがて年老いて死ぬ運命だからこそ、今こうして生きていられることがありがたい。病気になるのは嫌だし、ツラいけれども、だからこそ健康であることのありがたみが分かり、それに気づかせてくれる病気に感謝する気持ちになります。
愛別離苦は、愛する人と別れなければならない苦しみです。失恋、離婚だけでなく、病気や事故で死に別れることもあります。でも、だからこそ、今こうして一緒にいること、いられることに感謝して、相手を大切にしたいと思えるのではありませんか?もちろん、その相手はパートナーだけでなく、我が子でも親でもペットでも当てはまります。
怨憎会苦(おんぞんえく)は、嫌な人、害を及ぼす人に出会って迷惑を被る苦しみです。これも、そういう人に出会って不愉快になったり、迷惑するからこそ、そういう人を反面教師として、人を見る目を養っていけるのです。
求不得苦(ぐふとくく)は、欲しい物(人)が手に入らない苦しみです。簡単には手に入らないから知恵を絞り工夫したり、自分を魅力的にしようと磨きをかけられるのです。
そして五蘊盛苦(ごうんじょうく)。さまざまな刺激に対するストレスのようなものです。たしかに苦しい。でも時にはひと休みして立ち止まってみましょう。ふだんは忙しすぎて気づかなかったことが、私たちの五感を刺激して、道端に咲いている何気ない草花が、安らぎを与えてくれるかもしれません。ストレスが逆に気づきにつながり、自分を見つめ直すこともあります。
つまりは、マイナス思考ではなく、プラス思考に切り替えると、悪材料が好材料に変わり、不満は感謝に変わるのです。生きること自体が苦しみの元だけれども、人間は心の持ちようひとつで苦しみを喜びに変えられるのです。その鍵は感謝の2文字です。前向きに生きる以外に幸福への近道はありません。